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2014年3月

2014年3月 7日 (金)

「自ら学ぶ意欲の心理学」  櫻井茂男著 その7

 今回より、自ら学ぶ意欲を高める効果的な教育について、(一)児童期まで、(二)児童期、(三)青年期の三段階に分けて櫻井先生の意見をご紹介致します。

◎乳幼児期の教育この頃のベースとして大切なことは、親や保育園や幼稚園の先生の十分なアタッチメントによる信頼関係がしっかり築き上げられていることです。こうした環境が整いますと、子供は自分の興味のおもむくままさまざまな探索行動を展開できるようになります。これもひとえにアタッチメントによる安全地帯が築き上げられているからです。

〇応答的環境を用意する応答的環境とは文字通り、子供の質問に近くにいる大人(親や先生)が即座に答えてあげられる環境のことです。質問の回答が得られ、わからないことがわかるようになれば、子供の知的好奇心や有能さへの欲求は充足され活性化されるわけです。このことに関して、先生は例をあげて次のように述べられています。「近くの大人がわかりやすく説明しても、幼児には理解できないことが多い。しかし、あきらめずにやさしく説明することによって、幼児の知的好奇心をできるだけ充足してあげることが大切である。大人が知っている科学的な説明よりも、お伽噺に出てくるようなドラマチックな説明(例えば「赤ちゃんはコウノトリが運んでくる」といったような説明)の方が幼児には納得できることも多い。幼児が納得さえすれば、その段階ではその説明でよいといえる。なぜならば、幼児の知的好奇心が充足されるからである」科学的な理屈の正しさよりも、知的好奇心の充足を優先させることが大切だということですが、子供にはそれぞれ発達段階がありますので、その時点で子供が納得できる説明でいいように思います。さらに先生は、「テレビやビデオに子守りをさせるな」という昔からいわれている話をとり上げ、次のように述べられています。「幼児を一人にして、テレビ番組やビデオを見せる(子守をしてもらう)ことを頻繁に行うと、幼児はわからないことがあっても質問できないし、いっしょに共感したいと思っても共感できないため、自分の欲求(知的好奇心など)を抑制し無感動な子どもになる。…応答的環境という点から考えると、よくわかる話である。」

〇子供の感動・驚きを共有する将来の自ら学ぶ意欲(特にそのもとになる知的好奇心)を育むためには、幼児期に物事に感動したり驚いたりして、幼児の感動や驚きを共有し、知的好奇心を充足してあげることが望ましいとして、先生は次のような例をあげて説明されています。「例えば、太陽が沈みかける頃、『赤い太陽はきれいだね!』と言った子供の言葉に、『本当ね』と同意する母親や、『何で夕方の太陽は赤いのに、昼間の太陽は白いの?』といった子供の驚きに『そうだね。そういえば朝の太陽も赤いよね!』と驚きを共有するとともに、驚きが問の解決につながるようにコメントする父親はどうであろうか。このような母親は子供の感動を強めるだろうし、このような父親は子供の驚きを共有し、問いに対する解答のヒントを与え、子供の知的好奇心をより活性化するように思われる。こうした会話ができる親子は実にすばらしいと思う」さらに先生は、次のように結ばれています。「自ら学ぶ意欲の源にある知的好奇心は、創造性と強い関係をもっているようである。幼児期からの感動・驚き経験の共有によって、子供の知的好奇心が育まれれば、同時に創造性の芽も育まれるように思われる」これまでに何回、「知的好奇心」という言葉が出てきたでしょうか。それほどまでに、知的好奇心は学びにとって大切であります。いわば学びのエンジンなのであり、これをいかにして上手に育て上げるかが、幼児期のもっとも大切なポイントといえるでしょう。現代社会における親は多忙を極めています。その中でいかにして子供と感動や驚きを共有できる時間を保てるか。親の行動の価値基準が問われますが、忙しいからといって、テレビやビデオに子守をさせることだけは避けたいものです。知的好奇心は、全ての植物の種がその中に将来の生長を秘めているように、全人類に人間の証しとして生まれながらに備わっているものです。少し大人が手助けをしてあげれば後はひとりでに発展していきます。ただし、あくまで子供の個性、自主性を尊重し、自分の思うように育てようと強制したり、過干渉になることは、子供の自ら学ぼうとする意欲を抑制し、伸びる芽を摘んでしまうことになるので要注意です。

〇基本的生活習慣を自立させるこの項に関しましては、先生の言葉をそのまま記します。「幼児期の発達課題の一つに、基本的生活習慣の自立がある。簡単にいえば、一人でこぼさずに食事ができる、一人で衣服の着脱ができるといった一人で基本的な生活ができることをいう。……こうした基本的生活習慣の自立は、子供に大きな有能感を形成する。自分でできるということは大きな自信となる。この自立(自信)を背景に、子供は第一反抗期を迎える。自分に自信がもてるため、母親がしてくれることに、『嫌だ』『自分でやる』等を連発する。幼児にすれば、自分ができることは自分でしたいという気持ちの表れであるが、まだできないようなことまでしたいと言い張るので母親は苦慮する。ただ、このような万能感は子供のチャレンジ精神を後押しする貴重な要因である。それゆえ、できる範囲で子供の主張を受け入れてやりたい」自立心を育て自主性を養うことも自ら学ぶ意欲の重要な要素で大切にしたいものです。

次回は「児童期(小学校時代)の教育」について櫻井先生の意見をご紹介します。        (廣瀬)

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